DADA NUTS BUTTERの新しいプロジェクト「トラディショナルシリーズ」。
在来種などその土地に古くからある恵みの個性を楽しみ、その価値を発信していくこと、
そしてそれを生業とする人たちが幸せになる仕組みづくりを目的としたプロジェクトです。
第二弾は、縄文時代から人々の食に深く根ざしてきた日本在来のくるみ、「鬼ぐるみ」。
福島県会津で100年以上続く老舗のくるみ問屋、『斎藤金五郎商店』とコラボレーションした鬼ぐるみバターを発売します。
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会津には昔から北前船により鬼ぐるみが集まってきており、かつては多くのくるみ問屋があったという。しかし、担い手の後継者不足や高齢化による採り子(自生するくるみを収穫する人)の減少などもあり、現在、会津にくるみ問屋は二軒のみとなっている。
そのうちの一軒、斎藤金五郎商店には、東北中から山に自生した鬼ぐるみなどが集められ、初代から続く伝統的な方法で、一つ一つ手作業で殻割りが行われている。
三代に渡り守り抜かれてきたその作業場を斎藤さんは「古いですが、」と遠慮がちに案内してくれた。
各地から届いた鬼ぐるみはまず焙煎する。
なんと焙煎機の燃料は中身を取り出した鬼ぐるみの殻!
殻には油分が多く含まれているためよく燃えるそう。
焙煎したあとは釜で茹で、殻を柔らかくする。そこからはベテランのくるみ割り職人の出番。
部屋には年季の入った釜があり、そこへ6人の女性が座り込み手際よく茹で上がった鬼ぐるみの殻を割っていく。
静かな部屋に湯気が立ち上り、そこで淡々と行われるくるみ割りの作業はなんだかとても格好よく、見ていて気持ちがいい。
鬼ぐるみは一般的な西洋ぐるみに比べ殻が厚く、殻割りは機械化されず今でも全て手作業で行われている。その上、実も西洋ぐるみに比べて小さい。
そういったこともあり、今では外国産の安価な西洋ぐるみに押されて需要が減ってしまっている。
現在国内の流通量の95%は輸入品であり、海外の品種。
残り5%の国産くるみも、ほとんどが外来種から品種改良されたシナノグルミという品種で、鬼ぐるみの市場流通は1%以下。
まさに幻のような木の実なのだ。
そして、鬼ぐるみは西洋ぐるみと決定的に味が違う。
ミルキーで渋みが少なく、食べると濃厚な油分が口の中で熱くなるような感覚。
派手さはないけど、じわっと体に染み込んでいく。
古くから鬼胡桃を扱う和菓子屋さんが、「鬼胡桃じゃないと作れないお菓子がある」というのにも納得できる。
それぞれの品種に独自の良さがある。
そして古くから存在しているものには私の知らない時代のストーリーがある。
なんだかそれを知っていくことが楽しく、守っていきたい気持ちになる。
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だからこそのトラディショナルシリーズ。
実際に土地に赴き、そこに根付いた繋いでいきたいものを私たちなりに形にしその魅力を共有していきます。
それを生業とする方々にまで還元されていくサイクルを目指して。
「繋ぐ」という言葉を使いましたが、そのものがまだその土地にあるということは、それを守り繋いできた人がいるからこそ。
まずはその方達にリスペクトを込めて!
少しずつ、着実に育てていくプロジェクトにしていきます。